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バレエ・フェスティバルの開幕を告げる全幕プロ。 タマラ・ロホとホセ・カレーニョの2人であれば間違いなく素晴らしい舞台になるだろうという予感は合っていた・・・と言うよりもそれ以上の興奮と感動を与えてくれました。
テクニックについては改めて言葉にする必要はないとも思えるのだけれど、どの踊りにおいても高度なことをしても危うさの欠片もない安定感には驚きと感心の混ざったため息を漏らしてしまうほど。 そこに勢い、強さ、大きさが加わっているのだから観客が興奮しないわけはなく、舞台へ気持ちがどんどん引っ張られていくように感じた。 ロホとカレーニョ共にあまりにも美しく滑らかなピルエットには陶然とするほどで、その動きの正確さは芸術品と呼ぶに相応しいものだった。 また、作品の中において周囲との呼吸も合っていて、バレエ団に溶け込んだ上で個々の主張を加え舞台を引っ張っていく姿はまさに世界のトップダンサーであることを証明していたように思う。
主役の2人はもちろんのこと、脇を固めた東京バレエ団のダンサーも充実かつ万全のキャスト。 エスパーダの高岸さんの迫力と勢い、メルセデスの大島さんの格好良さと大人の色香、この版におけるもう一組の主役としての存在感を示し、友人役の小出さん、長谷川さんの爽快で小気味のいい踊りが華を添え、一人の女性の物語を描ききったジプシーの娘の井脇さん、ドリアードの女王を踊った西村さん、茶目っ気と愛らしさを振りまいたキューピッドの高村さん等々。 ソリストからコールドに至るまで作品の中を生き、気持ちを前へ前へと押し出し、「ドン・キホーテ」という作品の楽しさを存分に味わうことができた。
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未だに興奮が冷めず、書かずにはいられない中で思いつくままに書いているのでまとまりがない点はご容赦下さい。
今日(4日)の夜公演のボリショイ・バレエ団「ラ・バヤデール」を見てきたのですが、まず出てくるのは「ありがとう」という一語。 ニキヤにグラチョーワ、ガムザッティにアレクサンドローワ、ソロルにネポロージニーという、来日したダンサーでのキャストにおいて最強・最高と言える組み合わせによって作られた舞台は受け止めきれないほどの感動を与えてくれました。
完璧なテクニックとそこに表現が余すところ込められたアレクサンドローワ、ボリショイのダンサーが持つ強さと大きさの中に繊細さをたたえたネポロージニー、そして何と言ってもグラチョーワのニキヤの素晴らしさは筆舌に尽くしがたい感動を与えてくれました。 目を疑うようなテクニックを見せつつもそれが決してこれ見よがしにはならず、個々の踊りの中に込められた想いがどんなものであるかを余すところなく伝えてくれ、観客を物語へと引き込む力には感服と言えばいいのか、脱帽と言えばいいのか、言葉が見つかりません。
意識を超えたところで目にした舞台へ喝采を送りたい、そうした気持ちが自然とスタンディング・オベーションとなり、沸騰する感情で劇場が満ちるということがどういうことかを肌で実感することができました。 私自身がグラチョーワの大ファンであることを差し引いても凄まじいと言っていいほどの盛り上がりと感動で、舞台と客席が一体となるとこうも熱を帯びるのかということを感じさせてもらいました。
グラチョーワのニキヤは7日の神奈川県民ホールでの公演でも見ることができるといいうのが何よりも嬉しいところ。 ニキヤを、「バヤデール」という物語を、そして何よりバレエそのものの感動を伝えてくれる舞台を1人でも多くの方に見ていただきたいと思います。
乱暴な言い方だけれどもどうしても書かずにはいられない一言。 「グラチョーワを見ずしてボリショイを見たことにはならない」
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私にとってロイヤル・バレエと言うとダーシー・バッセルという思いがあるので、直前のキャスト変更で今回取っておいた2日間のチケットが共にダーシー・バッセルのシンデレラを見ることができたことは幸運といしか言いようがなかった。
日本公演でのバッセルには何か特別な力が働くのか、技術的な面で訴えかけてくるタイプではないと思っているのだけれども、完璧と言ってもいいほど明確かつ確実な動きに驚かされ、一つ一つの動きの積み重ねが舞台上での光彩を増していき、圧倒的なまでの存在感には目を離せなくなるほどだった。
さらには、第1幕後半で純白のドレスをまとい舞踏会へ向かう姿、第2幕で舞踏会場で王子に手を取られながらやや正面を見据えながら階段を下りてくる姿、王子とのパ・ド・ドゥで見せた輝きは圧倒的で、これが理想のシンデレラ像なんだと焼き付けられることになった。
2日連続で全幕の主演を踊ることがなかっただけに、こうしたスケジュールで大丈夫なのかということも考えてしまったのだけれども余計な心配というもので、その華やかさとおとぎ話の主人公としての輝きに溢れ、これぞプリンシパルと納得させられるばかりだった。
そのバッセルのパートナーとして急遽登場したマハテリは技術的な面で少し弱さが見えたものの、その姿と身のこなしはまさに「王子」を実感させる美しさがあり、その美しさが舞台上での説得力となって現れていたように感じた。 しっかりとしたサポートを通じてバッセルとの間に会話が見えるようで、ファースト・ソリストでありながら今回抜擢された理由が何となく分かるような気がした。
また、もう一つの見所でもあったシンデレラの姉には大柄のダウエル&小柄のスリープという絶妙の組み合わせで、好き勝手にというか縦横無尽に動き回る姿はどこまでが演技でどこまでがアドリブか分からない楽しさで、このプロダクションでの裏の(真の?)主役としての面目躍如といったところだった。
他にも道化を踊ったマルティンの軽妙さと鋭敏な動きが目を楽しませてくれたことも付け加えておきたい。
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バレエ公演ではありませんが、今年に入ってから急速に見たいという気持ちが沸き上がってきた歌舞伎をようやく見に行ってきました。 今回上演された「信州川中島合戦」、「素襖落」、「恋飛脚大和往来」は当然のことながら物語が全く分からないので、開演前にプログラムで大方のあらすじを頭に入れておいたとはいえ、幕が開くと不思議なことに物語が分かったことには我ながら驚きだった。
古い言い回しとはいえ日本語での台詞回しだし、時代劇もそれなりに見ているから受け入れやすい土壌は出来ていたのかもしれないけれども、ここまで自然に見られるとは思ってもいなかった。
初めて見るということもあって、色々な驚きがあって、休憩も入れて5時間という上演時間にはじまり、視界に収まりづらい舞台の間口の広さに唖然としたり、開演する際に客席が薄明るいままだったり、と新鮮な体験も楽しませてもらった感じがした。
演目もコミカルなものあり、悲恋物あり、教訓の込められた話あり、あるいは踊りとして見ることそのもので楽しめる作品ありと、実に幅広く数百年かけて受け継がれてきたものの深みと奥行きを感じることができた。
今回初めて歌舞伎を見てとにかく痛感したことは「娯楽」であること。 日本の伝統芸能として扱われることが多いためどうしても敷居の高いものと感じられることが多く(そういう面ではバレエも似たところがあるけれども)、少なからず私もそうした気持ちを持っていたけれども、触れてみるとそんなことはなく、実際に体験しなくてはいけないと改めて痛感することにもなった。
1つだけ心配なのは歌舞伎の面白さと楽しさを知ってしまったため、色々と見に行きたくなってしまったことで、ただでさえすきま風の吹いている財布がさらに厳しい状況になってしまいそうなこと。 それでも舞台に触れる楽しさには代え難いものがあるからきっと行ってしまうんだろうなぁ・・・
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マラーホフ&ヴィシニョーワのペアも気にはなったものの、セミオノワを外すことはできないので、迷わずこの日を選択。
第1幕でこそニキヤとしての存在感がやや薄い感じはしたものの、物語が進むにつれて動きからも表情からも中心にたって舞台全体を引っ張る強さと大きさをまとっていく姿にはまたも驚かされることになった。 技術的には既に完成されていると言って差し支えないほどで、それに加えて作品そのものと役を深く理解して細やかに表現できる実力はその年齢を知っているだけにいつも信じられない思いをさせられてしまう。 この公演でも第3幕の影の場面でのバリエーションであっさりと高度な、というより信じ難いテクニックを見せながら、それが決して技術だけに傾倒するのではなく、音楽の盛り上がりに呼応して見せるているところが素晴らしく、今回もまた感心させられる場面に出会えたことを素直に喜んでいた。 1つの舞台毎に着実かつ期待を上回る姿を見せてくれるセミオノワがこれからどのような舞台でまた驚きと感動を与えてくれるのか、期待は高まるばかりになった。
今回セミオノワとパートナーを組んだシュピレフスキーはかなりの大柄でありながら(ポワントでセミオノワが立ってもまだ彼の方が高いのは驚きだった)、踊りは丁寧な踊りと安定したサポートは見ていて安心感のあるものだった。 その反面、ソロルとしてはおとなしすぎるような感じがして、本人の意志とは無関係に時の流れと運命に翻弄され続けているような印象を持ってしまった。(どちらかと言えばそれはニキヤの立場のように思えるのだが・・・)
また、幻影の場でのバリエーションでコリーヌ・ヴェルデイユが格の違いとでも言えばいいのか、周囲とは一線を画した素晴らしさ。 既に「マラーホフの贈り物」で見ているのでその実力については分かっていたものの、踊りの切れや巧さ、音楽の捉え方や反応の素晴らしさに見惚れてしまうほど。
全体を見てみると「若い」ということがそこかしこに見えて、真摯に踊っていてその一生懸命さは伝わったものの、その「頑張っている」ことがはっきりと見えてしまった感じもして、これからのバレエ団という印象を持った。
演出については、全体を通してボリショイで上演されている版を彷彿とさせる場面がそこかしこにあり、独自色をもう少し出してくるかと思っていただけに想像していたよりも馴染みやすく、正統派の演出という感じがした。 また、第4幕にだいぶ重きを置いていて物語を完結させていたのが個人的には嬉しかった。(どうも3幕で終わる版は尻切れトンボのような気がして仕方がないので)
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